2015年1月22日木曜日

気付いていない咬み合わせの異常ー『指示したサイドに動かせないバランシングコンタクトの特徴』





我々歯科医師が患者さんに「咬んだまま左に動かしてくださ~い」と言うと、右に動かしてしまう患者さんがいます。



この時「いやそれは右です!こっちですよ左!」と言って、患者さんはまた右に動かす。



こういう事はよくある事です。



その時先生も患者さんも、「ははは中々難しいですよね~」と笑って終わってしまう経験が患者さんにも、歯科医師の先生方にもあると思います。



しかし、これには実はあるサインが隠されているのです。



通常人間は咬んだ状態から下アゴを右もしくは左に動かした際に、動かした側の犬歯や小臼歯がガイドとなって下アゴを滑らして行くのです。



その際に下アゴを動かした方と反対側の上下の歯は離れなければならないとされています。

(※右に動かしたとしたら左の歯列)



もしそこで反対側の歯が離れないで上下のぶつかりがあると、顎関節や口腔周囲筋や歯にとってトラブルが現れると言われています。



これは、50年以上前に生理学咬合(Physiological Occlusion)の祖で咬合理論の父とも呼ばれる、Clyde.H.Schuyler(クライド・スカイラー)先生の論文で発表されて以来、多くの咬合理論を唱える先生方にも支持されており、今現在でもそれは歯科における常識となっています。



これを専門用語でバランシングコンタクト(balancing contact)と言います。



話は戻しますが、人はこのバランシングコンタクトが存在すると無意識のうちにそちらの引っ掛かる方向には動かしたくなくなります。



すなわち、習慣性に動かす方向が固定されて来て「左」と言っても「右」になったりしてしまいます。



すると、そちらのサイドの歯ばかり治したり、何回でも治さなくてはならなくなってきてしまうんですね。



その習慣性の動きやアゴのポジションを治さなければ、いくら咬み合わせの治療とか言っても全く意味がありません。



我々歯科医師はその様なサインを見逃さず治療進めて行かなければなりませんし、患者さんにおかれましては是非そういった動きの中でのコントロールをされた修復物を作製して頂いて下さい!


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